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かちり カチリ かちり
何度も繰り返し行われたミーティング。

戦いが始まれば、自然と躯がその通りに動くほどに
何度も何度も行われた。


戦いはいくつもの偶然と奇跡。
戦いはいくつもの経験と実力と・・・?

それぞれが、それぞれに
”神”さまの気分がこちらを向いていて初めて手に入れることができる。


どうやら・・・僕は機嫌を損ねてしまったらしい。


奥歯を何度も噛みしめるが、かちり かちり と
オイル切れの安物のライターのような音だけが喉奥に響く。


絶望的な状況・・・と言うほどではない。

通信回路がナニかに邪魔をされていて通じないのか、仲間達と連絡が取れない。
加速装置が使えなくても、予定していた時間内に目的地につくことができるはずだった。

すでにミッションはコンプリートしている。

自分たちが戻らなければ、このビルを爆破することはできない。
時間内に戻らなければ、彼らも気づくはずだ。






僕は動けない。





地下のエレベーターの中で。
壊れたドアを無理矢理、半分まで閉めた。
躯を外から見えないように、細心の注意を払って隠す。
ドアを背にして、自分と仲間の身を重ねるようにし、視界は常に外が見えるようにしている。


敵はいないことは解っているが、用心に越したことはない。



腕の中で意識を失ったままの仲間を、もう一度確認する。
辛くないように抱き直したとき、くぐもった痛みをこらえるような声が、堅く一文字に結ばれた唇の向こうから漏れる。
慌てて、怪我をしていないか確認する。

外傷はない。


外傷があるとすれば、僕だ。


加速装置の故障・・・は外傷にあたらないか?

上の階で起きた爆発から逃れるために地下へと逃げ込んだときに、爆風に舞う物に左肩を持っていかれた。
どうやら、はずれてしまっているようだ。
だらり と重力に逆らわないように垂れ下がる無意味な物体となったそれは、1mmも動かすことができない。

ただ邪魔なだけ。

大切な仲間に触れることさえできない。

その温もりも。
その柔らかさも。
その愛しさも。

この腕は感じることができない。

右膝下からまったく感覚がない。
動かそうと命令するが、ぴくり とも動かない。
最後の最後で・・・自分の加速装置に過信した、僕の甘さの結果がこれだ。
加速装置は万能じゃない。

何度も言い聞かされてきた。
何度も、何度も、何度も、何度も!!!

それがどうだ!!!

このざまは!!!!!


かちり かちり かちり かちり かちり かちり かちり かちり
カチリ カチリ カチリ カチリ カチリ カチリ カチリ カチリ

かちり かちり かちり かちり カチリ カチリ カチリ カチリ
カチリ カチリ カチリ カチリ かちり かちり かちり かちり



か ち り か ち り か ち り か ち り か ち り か ち り
か ち り か ち り か ち り か ち り か ち り か ち り

カ・・・


「・・・・009?」
「!?」

003・・・・・

「・・・ここは?」
「地下だよ」


大切な仲間。
大切な女性(ひと)

彼女は、僕の胸に預けていた躯をゆっくりと起こしてまわりを伺った。
何かを探すように、彼女は首をぐるりと回して”視る”。

「・・・・」

彼女はエレベーターの天上の一角を見据えて、動かなくなった。

「・・・どうした?」
「・・・見えないわ」
「!!」


最悪だ。
守りきれなかったんだ!!!!

いつだ?!
いつ?!

ああああ!

なんだって言うんだ!


かちり かちり かちり かちり かちり かちり


これさえ!
これさえ!!!

動け!


「009?」
「あ・・・・」

003は、ぱたり と先ほどと同じように躯を僕の胸に預けた。
彼女の重みが、僕の怒りと不安と・・・苛つきを押し沈める。

「状況を説明して」
「・・・地下のエレベーター内だ。爆発に巻き込まれないように逃げ込んだ」
「通信回路は・・・使えないのね?」
「うん」
「私の”眼”はダメだけど・・・”耳”は大丈夫よ。あなたは・・・・加速装置が、ね?」
「・・・わかる?」

彼女は くすり と微笑んだ。

「”耳”は大丈夫って言ったでしょう? それだけスイッチをカチカチと何度も噛みんでいたら・・・」
「・・・ごめん」
「ほかには?・・・あなたが加速装置の故障くらいで、こんなところに居続けるなんて・・・」

彼女は見えないために、僕の躯の上をその小さな白い手でなぞる。
僕の胸元から、鎖骨へ。両手で首周りを確認し、手を広げるようにして肩へと流れていく。

「!・・・・・左肩が!」
「爆発で少し」

彼女の手はそのまま僕の両腕をなぞっていく。

「左肩から・・・まったくダメなのね?」
「そう・・・ついでに言うと、右膝下も反応なし」
「!!」

彼女は右手をゆっくりと、僕の脇下から下げて行く。
太腿から、膝頭を確認する。

「・・・折れてるのね?」
「・・・痛みはないよ・・・鎮痛剤を飲んだ」
「歩けないの?」
「・・・・左足首をね・・・ここに逃げ込む時に無理をしたみたいだ」
「?!・・・そんな・・・」
「ごめん」


思わず、また加速装置を噛む。

かちり かちり かちり かちり

何の反応もない、ただの奥歯に備え付けられたスイッチ。

夢なのかもしれない。
こんな状況に追い込まれるなんて!

かちり

彼女を危険に晒した!

カチリ

彼女を守れなかった!

かちり

彼女の瞳は何も映さない!

カチリ

動かない躯!

かちり

役立たずの腕!

カチリ

役立たずの足!

かちり

過疎装置を過信した僕!

カチリ

009として最低だ!

かちり

何が最強だ!

カチリ

何が!

かちり

どこが!

カチリ


カチリかちり カチリかちり カチリかちり カチリかちり カチリかちり
かちりカチリ かちりカチリ かちりカチリ かちりカチリ かちりカチリ

「ジョー!」
「・・・・カチリっ!」


彼女の白い手が、僕の躯の上を素早く移動する。
彼女の白い手が、僕の頬を包む。

彼女の唇が、僕の唇に重なる。


かちり












「・・・・っfr・・・・?」
「・・・・・・それ以上、加速装置を噛むなら、迎えが来るまでずっとあなたが噛めないようにするわよ?」

ごめん

「ごめん・・・」

「あなたのせいじゃないわ」

「ごめん」

「いつも、ミーティング通りにいくなんて思わないもの」

「ごめん」

「いつも、成功し続けるなんて変だもの」

ーーーそれでも、勝ち続けなければいけないんだ。

「ごめん」

「失敗じゃないわ。ミッションはコンプリートしてるんだし」

ーーーそれでも、キミは視力を失ってしまった・・・

「ごめん」

「今回は運が悪かったのよ・・・いつも無傷で勝利するなて不自然よ」

ーーーそれでも、それをやり遂げるのが、009なんだ!

「ごめん」

「・・・ジョー?」

「ごめん」

「・・・・謝らないで?」

「・・・・ごめん」



思わず、また噛んだ。


か ち り


彼女の耳にも届いた。


彼女はもう一度、僕の唇を塞ぐ。

深く。
深く。
深く。


僕の歯が、加速装置を噛むことは出来ないように。

彼女の唇を、舌を、傷つけることは出来ない僕を、知っている彼女だから。

深く。
深く。
深く。



長く。
深く。



ふううっと甘い息がかかる。
見えないその瞳は、僕を鏡のように映している。

情けない
最低な

最強のサイボーグ

009・・・?

島村ジョー・・・?

どっちだ?

どっちだっていい・・・。


今の僕は、ただの動かない人形と変わりない。


「・・・・わざと?」
「え?」




彼女は嬉しそうに微笑んだ。

「・・・・わざとかしら?」
「・・・なに?」

「・・・たまにはいいかもしれないわよ?」
「・・・なにが?」
「いつも、パーフェクトな009は私のために存在してくれないもの」
「?」
「パーフェクトで、格好良い、ヒーローは・・・いつもその腕に、私以外の女性を守るもの」
「・・・」

「009は、みんなの009だから・・・・」

「・・・キミを守りたかった」

「でも、ジョーは・・・私のよ」

「・・・こんな男なんて・・・最低だ!!役立たずもいいところだ!」

「だから、私がいるじゃない」

「?!」

「そんなあなたに、私がいるのよ?・・・パーフェクトな009には私は必要ないもの」

「ねえ、噛まないの?」

「・・・・」

か ち り



かちり カチリ かちり かちり カチリ かちり カチリ  
かちり カチリ かちり カチリ かちり カチリ かちり カチリ・・・


「009、 あなたは、そのままでいいの。
 ジョー、あなたは、そのままでいいの。

最低でも、情けなくても、失敗しても、何をしても。
あなたのせいじゃないわ。


ちょっと、”神”様が私たちに嫉妬しただけよ」




か ち り





か ち り






幸運の女神のキスが、僕を支えてくれている。


かちり。



end.

・言い訳・
なんじゃこりゃ~~~~~~~~~!

「939」番を踏んで頂いた「にきり ・・・」さまへのキリリク・ストーリーです。
えっとお題は・・・
戦闘中リーダーである009のミスでメンバーが(00メンバー誰でもok)心身ともにボロボロになり、
009はメンバー、とくに003さんの支えあってこその自分だと気づく!!

とっても00的に素敵なキリリクだったのにもかかわらず!!
私ってば、私ってば!!!
何を書いているんじゃ~~~~~~~~~!!

9と3以外出てこないし・・・<(T◇T)>わぁああああ!
結局、私が書くと・・・こんなパターンになってしまうのでしょうか?

・・・事件物をやりたい私には、とってもよい機会だ!!っと、思って張り切っていたのに。
リベンジ?
これもリベンジ???

・・・みなさまの感想をお待ちしています・・・

(・_・。)) マイッタナァ
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