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Day by Day・17
(17)

「少し、気になることがあったんだけど」

張大人の作った夕食後、00メンバーとギルモアが全員リビングへ集まり、アルベルトとジェットが始めに報告をした。
アランはジョーが購入したチケットから居所を探っていること、あと1ヶ月は日本に滞在する予定であること。と、おおまかに掴んだ彼の日本でのスケジュールを見せた。それを引き継ぐように、ピュンマがあらゆる方面からアランの経歴を追った結果を話す。
彼については、フランソワーズの口から彼女の知っている限りの情報がすでに提供されていた。

「気になること?」
「ああ」

ピュンマは ちらり とフランソワーズを見る。
彼女はピュンマの視線を感じ、彼に話を促すかのようにフランソワーズは頷いた。その隣にはジョーが座っている。

「・・・・フランソワーズが受けたと言う、バレエ団の奨学金試験の受賞者の記録がみつかったんだけど・・・フランソワーズの名前がなかった。その、フランソワーズが受けたときに受かった5人の中に彼女は含まれていなかったんだ・・・。行方不明になった所為かな?っと思って調べてみたんだけど、どこにもフランソワーズについて、載っていなかったんだ。けど、その代わりに・・・・」

ピュンマの言葉に信じられないとばかりに驚き、ぎゅううっと膝の上で拳を握り締め、その手が震えていた。ジョーはフランソワーズの顔を見たかったが、彼女は俯いてしまい、髪が邪魔をして様子がうかがえない。

「その代わりに、どうした?」
「・・・アランの名前が5人の1人として載っていた」

「「「「「「「「?!」」」」」」」」

「嘘・・・」

ピュンマの言葉にフランソワーズは弾かれたように顔を上げる。彼の報告にフランソワーズはその身を ぴしり と凍らせ、彼女の瞳は哀しみに病み、瞬きもせずにピュンマを見つめた。40年以上も時間が経ってしまった以上、いまさらの事だが・・・。


「・・・彼の経歴を言うと、

アラン・モルディエ

バリ○○バレエスクール、○期生。
バレエスクールに通い、アメリカ・OXOバレエ団19○○年、奨学金試験を特別枠であったフル・スカラーシップ受賞者として渡米。
個性的な踊りと、優美なマスクが受けてプリンシパルとして活躍するが、体力の限界を理由にダンサーを引退。そ後はパリに戻り、故郷フランスの地で小さなバレエ教室を開き過ごす。
自身のバレエ教室の発表会でアランが振り付けをおこなった作品を発表。小さなバレエ教室の発表会にもかかわらず、年々人が押し寄せる盛況ぶりに、噂が噂を呼び、コレオグラファーとしての才能を表す。彼の母校であるバレエスクールに、正式にコレオグラファーとして依頼を受け、それ以来、フリーとして活躍。
現在はコレオグラファーとして世界中がこの遅咲きの、天才に注目する。

日本のバレエ協会からと複数のバレエ団、その他がスポンサーとなり、アラン・モルディエ最新作の世界ツアーが日本から始まる。

独身。


・・・・彼は常にインタビューで、ある女性を待っていると言っているよ」


「なにアルか?それじゃあ、フランチョワーズの代わりにアランが奨学金生になってアメリカ行ったでアルか!?」
「・・・この場合だと、フランソワーズの代わりではないと思う。どこを探しても彼女の名前は出てこなかったんだから」
「・・・私は・・・確かに19○○年のオーディションを受けたわ・・・・」
「フランソワーズが嘘を言ってるなんて、思わないよ、ボク。もう少し調べてみたら、君の名前は出て来なかったんだけど、受賞者に”変更”を記す記述があったんだけど・・・それがフランソワーズなのかどうかは・・・。もっと詳しく調べたかったんだけどさ、ここからではこれが限界だった。ゴメンね。あと、16日の飛行機については・・・」

ピュンマはグレートを見た。

「うむ、我が輩が調べたんだが・・・どうにも・・・その日の航空スケジュールのどこを見ても”キャンセル”があった便を見つけられんかった・・・」

髪のない頭を忙しなく掻きながら、申し訳なさそうにフランソワーズを見る。

「・・・え? そんな!・・・私はその時・・・空港に居たのよ?ちゃんと確かめたわ!それに、その日のアメリカ行きの便への変更もお願いしたけれど、空きがなくって!やっと見つけたのが翌日の・・・よくじ・・・つ・・・の・・・・・」

フランソワーズの震える声が力無くリビングの空気の中へ消えていく。


ここにいる私は?
自分の記憶にある過去は・・・嘘?


何もかもが嘘?


私の存在が・・・ウソ?




「003の・・・」

重苦しい空気の中、ギルモアが静かに語り出した。

「003の候補者は、実は他に3人いたんじゃ・・・・。B.Gの研究施設には多くの人間が・・・実験のために送られてきた。すでにいた3人の候補者たちの中に・・・フランソワーズは含まれておらんかった。・・・フランソワーズに決まったのは、その・・・ただ、年齢的なこともあったが・・・女性であったことと・・・003の機能を考えると、のう・・・」
「別にフランソワーズじゃなくっても、女なんてゴロゴロ誘拐してたんじゃあね~のかよぉ!」
「・・・」
「写真じゃよ」
「・・・写真?」
「唯一、フランソワーズの時にだけ、研究所に送るサイボーグ試験体候補だと、写真が送られてきたんじゃ・・・それが決めてじゃった。本当に綺麗な・・・笑顔でなあ・・・彼女ならどこへ潜入させても誰も・・・疑わずに彼女を信じるじゃろうし・・・その他にも・・・・」

博士は体を小さくしながら、頭を自分の膝にくっつけんばかりに項垂れた。


なぜ、フランソワーズなんだろう?
なぜ、フランソワーズじゃなければならなかったんだろう?


「儂を含め全員が、フランソワーズを・・・・003にと・・」


フランソワーズは狙われた。
003となるために、狙われてたのだ。


「・・・ジョーが受け取ったチケットの中に・・・・」

ミーティングが終わりに差し掛かったとき、フランソワーズが口を開いた。

「彼から、私宛の手紙が入っていたわ・・・・・何も、当時のことについては・・・何も書かれていなかったのだけれど・・・・会いたい。と、彼の宿泊先のホテルと、携帯電話の番号が・・・。彼から直接・・・私が彼から直接話を訊いた方がいいと思うの・・・」
「っっっ!バカなこと言ってんじゃねぇええ!あいつがまだ、白だとは解ってねぇんだぞ!!」

フランソワーズの言葉に間髪入れずに反対するジェット。

「・・・会って、どう説明する?その姿で。”私はサイボーグです”ってあいつに言うつもりか?反対だ。ヤツが白だろうが黒だろうが、余計な情報はこっちから与える必要はない」
「アルベルト・・・」
「009、どう思う。」

じっと黙ったままミーティングの成り行きを見守っていたジェロニモが、ジョーに意見を求めた。

「今の段階では、アランがB.Gと繋がっていないとは言い切れない。少しでもB.Gの影を感じる限り注意したい。引き続いて彼を調べよう。・・・・確かにアランに会い直接話しをした方が早い。けれど、アルベルトの意見には僕も賛成だ。彼が白だったとしても、できるだけ・・・今後のことを考えれば、接触を避けたい・・・・でも、これは彼女自身の問題でもある。と、思う」

ジョーの口調は、冷静であり009であった。
彼がそう言うのなら、フランソワーズは逆らうことができない。

「・・・・フランソワーズが会う必要はない。話しをするためなら僕が行こう」
「?!」
「・・・そういえば、ジョーとフランソワーズが一緒にいるところを見られてるんだよね?」

ピュンマの言葉に、ジョーは頷く。

「不自然ではない。と、思う。もらったチケットに彼女にあてた手紙の内容が、彼の滞在先のホテルに、携帯の番号・・・。僕が彼に連絡を取っても、それは不自然ではない」
「人の女を勝手にくどいてんじゃねえ!ってか?」
「・・・・チケットの礼でもなんとでも、言えるだろ?彼女宛の手紙を僕が読んでも不思議ではないはずだ。僕が受け取ったことになっているだろうから・・・僕が行く」
「ジョー、わかった。会うのはお前1人でいいが・・・何があるかわからい、同行するぞ。フランソワーズ、お前さんはアランと会うことを諦めてもらうぞ」

ジョーはアルベルトの言葉に頷き、フランソワーズは黙っていた。


####

ミーティング後、1人リビングに残ったフランソワーズは熱々のホットミルクを淹れたマグを両手に包み込み、膝の上から立ち昇る甘い香りと熱気に、凍てついたこころと躯をほぐしていく。
今日のミーティングで聴いたことは、すでに自分がサイボーグにされた後に起こったことだ。と、言い聞かす。

ーーー私はここにいるもの!・・・消えてしまったわけじゃない!!

フランソワーズが信じていた過去がすり替わっていた、いや。今の時点では消えてしまっていたと言った方がいいかもしれない状況に戸惑っていた。
フランソワーズのこころの支えになっていた、バレエ留学。
自分で道を切り開き、夢を叶えるためのスタートに自分の足で立ったこと。

彼女が戦いの中で自分を奮い立たせるときに、いつも思い出していたことのひとつが、それだった。
一度は諦めたダンサーへの道。けれども諦めずにフランソワーズ自らがそのチャンスを掴むために飛び込み、彼女はそれをしっかりとその手に掴んだのだ。だからこそ、フランソワーズはどんな戦いの日々も、サイボーグとなってしまった躯も、時を越えてしまった哀しみも、全てを諦めなかった。
彼女は知っていたから、彼女は経験していたから。どんな状況に置いても自分さえ諦めなければ、きっとどんな形であれ、それを掴むことはできる・・・と。

フランソワーズは数ヶ月前の、この邸での生活が始まった時のことを思い出すと、なんとも恥ずかしい気持ちで一杯になる。自らの手で、仲間達と一緒につかんだ平和を恐れ、逃げていたからだ。手に入れることに必死で、手に入れた後のことをちゃんと考えていなかった。平和はただそこにあるものではない。小さな日常を積み重ねて続いていく・・・それに必要なのは、戦いと同じように努力が必要だ。フランソワーズは、自分はその努力をすることを諦めていたのだ。と、思う。

手の中にあるマグカップから伝わる温もりに、フランソワーズは昔を思い出す。サイボーグにされる以前の自分を。それは本当に失ってしまったものだろうか?と。

未来は、明日は、ここにはない。
過去から重なった先にある。
過去が、日常が重なり続ける限り・・・・。

今のフランソワーズは、過去のフランソワーズが存るするからこそ。
未来のフランソワーズは、今のフランソワーズが在るからこそ。

ーーー何も失っていない。

フランソワーズは、ゆっくりとマグカップの重みをその手に感じながら持ち上げる。唇をマグカップの縁に寄せて、すう っとその香りを楽しみ、白い液体を口に含んだ。

ふと、甦る感触。

フランソワーズは慌てて唇からマグカップを離した。
彼の声が聞こえる。

ーーーキミが生きている明日が続いていく限りーーー


私が生きている明日・・・。

明日へと続くために今日がある。

今日は昨日の未来。

一昨日は昨日の未来だった。

明日がずっと続いていく限り・・・。



私は今日を生きる。


再び、唇に重ねられた柔らかな感触が甦る。
眠っている間にピアスをなくしてしまわないように。と、触れられた彼の指先から、微かな震えを感じた。


小さなことを重ねて生きる日々。
小さな想いを重ねて感じる日々。


彼との会話を、時間を重ねる日々。

「嘘をついたのね?私・・・さくらさんに」

ふうっとため息をつき、もう一度マグカップを持ち上げ、微かに冷めてしまったミルクを飲んだ。

口から喉を通り、熱い液体はフランソワーズの胸に広がる。
じんわりと暖まる。

「・・・兄さんが居たら、なんて言うかしら?それよりも、私は兄さんに言ったかしら?」


ーーー好きな人がいるの・・・兄さん。でもね・・・。

そ れ を 彼 に 伝 え る つ も り は な い の よ・・・。


####

ジョーがアランと連絡を取る前に、細かい打ち合わせが続けられた。
少しでもアランに余計な疑問を持たれないために。

すでにバレエチケットをネットで購入してしまっているために、ジョーの名前を知られている可能性が高いのでジョーは偽名は使わない。
アランが知るフランソワーズが”フランソワーズ”である。と、アラン自身にどれほどの確証があるのかがわからないために、フランソワーズは”マリー”と名乗ることにし、ジョーとは恋人同士であり、”マリー”は日本で生まれ育ったフランス人と決めた。ジョーと”マリー”がバレエ公演で頂いたチケットだが、宛名が”フランソワーズ”になっていたこと、添えられた手紙がその”フランソワーズ”宛だったことから、ジョーはそれを返すためにアランに連絡する。と、設定した。それらのシナリオは、グレートが中心になって決められた。

「いつ電話を入れる?」

翌日の昼。
ダイニングルームで昼食を取りつつ、話が進められた。

「・・・明日にでも。あまり日を空けるのはよくないと思う。彼は来週の火曜日に手紙に書いてあったホテルに戻ってくるんだろ?」
「ああ、調べた時にゃあ、そうなってたんだ、変更がねぇ限りそうだろうなぁ」

ジョーはジェットの言葉に頷く。

「彼が電話に出なくてもいいんだ。チケットを返したい。と、それだけを言えれば・・・後は、彼がどう動くかだ」
「彼が動かなかったら、それはこのままにするアルか?」
「B.Gとの関係は引き続き調べる。けれども今回のことは彼が何も動かないのなら・・・このまま他人の空似だった。と、言うことで終わらせたい・・・」

そう言うと、ジョーはフランソワーズを見た。
フランソワーズはジョーの意見に納得しているように頷いた。そんな彼女の様子を見ながら、ジョーは訊ねた。

「・・・フランソワーズ、キミはどうしたい?」
「・・・・」
「B.Gとの関係については、僕たちに任せてくれ。けれど・・・彼とのことは、キミのプライベートなことだ。それに立ち入る権利は僕たちにはない。できるだけ、キミがしたいようにさせてあげたいと思うから、キミの意見を聴いておきたい」

フランソワーズは首を横に振る。

「アランとは、もう何もないもの・・・今から何かが起こるわけでも、過去に戻ることもできないわ。今更・・・私が知らない真実を知っても・・・ね?私のことは気にしないで。私はみんなの意見に賛成よ」

微笑んではいたが、フランソワーズの瞳が揺れているのが手に取るようにわかる。
彼女の胸にある疑問。それは、ここにいるメンバーたちには言ってはいない内容のことであることが明確だった。
ジョーは今だけフランソワーズの言葉に頷いておく、今だけ。

「明日、電話をいれる」

ジョーの一言で全てが決まった。

昼食後、それぞれがミッションのために動く。と、言ってもピュンマが中心に立ってリサーチを進めるのだ。
彼以外は今までの日常とそう変わらない午後を過ごすことになった。

ピュンマの部屋にジェットは入り込んで、彼のノートパソコンを開きメールチェックをする。

「お!さくらからじゃん」

メールボックスに1通の未読メッセージの通知をみつけた。
ピュンマはその声に反応して、ちらりとジェットを見る。手を止めて、彼に届いたメールの内容を気にしていた。

「・・・なんて書いてあるの?」
「ん?ああ・・・ちょっと待てよ・・・あ? なんだって?!うわあああああああ!やべえぞ!おい!!」

ジェットは常にリアクションが人の10倍である。
もう慣れてしまっているのか、ピュンマはそんなジェットを押しのけるようにして、ジェットの膝に置かれたパソコンのウィンドウをのぞき込んだ。

「えええええええええ?!」

ピュンマはジェットに負けないほどのリアクションを・・・みせた。

「なあ?!ったく、あいつそんなこと一言も言わなかったじゃねぇぇか!っつうか、フランソワーズとすっげぇえ親しげにしやがってよぉお。何考えてんだよっ!」
「・・・えええええええ?で、ジョーは何も返事してないって・・・本当に・・何考えてるの?!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
DEAR ジェット

元気?
ジョーからお仕事がこれから忙しくなるって聴きました。
当分、遊ぶのは無理みたいね?
残念!

でもね、ちょっとだけほっとしてるわ。
だって、ジョーとは顔を合わせずらいもの!

誰にも言わないでね?
絶対よ!!
私との秘密が守れなかったら、超痛い目みるからね!!

この間、ジョーに会ったとき・・・知ってるかな?
車を選ぶのを彼に助けてもらったの。

ジョーに、好きな人がいる?って訊いたら、彼はいないって言ったのよ!
だから、つい勢いで告白しちゃったわ!!

”私があなたの好きな人”になるってね!

返事は訊いてないわ。きかなかったの。
ずるいかもしれないけど、それが私の作戦なのよ!

協力してよね!
ここまで頑張ったんだもの!!

お仕事が一段落したら、連絡ちょうだい。

xoxo

さくら

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「返事してねぇんじゃなくて、わざとそうしやがったんだよ、訊かなかったんだよ、さくらのやつ!っくそお、あいつ判ってるじゃねえか!!ジョーの、やつの優柔不断なとこぉ!」
「・・・・で、なんでジョーはさくらに”好きな人はいない”なんて言ったんだよ?・・・彼は彼女のこと何とも思ってないわけ?」
「なんとも思ってねぇえはずねぇだろぉぉぉ!!今までのあいつの態度やら見てて、丸わかりだっつーの!」
「だよね~・・・。じゃあ、なんで”いない”なんて言うのさ?」
「知るかぁぁぁぁあああああああああ!」

ジェットは乱暴にパソコンをピュンマに押しつけると、加速装置を使ったのかと思うほどに勢いよくピュンマの部屋を出て行き、リビングへと降りていった。

「おいっっ!ジョー!!!!!!」

ばんっっ と リビングのドアを壊してしまう勢いで開ける。
そこに居たのは、アルベルトとグレートそして、張大人であった。

「ナニあるね!ジェット!ドアが壊れるネ!」
「っなんだ?なんだ?またお前、なにか壊したのか?」
「・・・・五月蠅い」
「ジョーのやつはどこだよ!」

アルベルトは呆れた顔で短い溜息を吐き、ソファから立ち上がった。

「・・・知らん、海岸で煙草でも吸ってるんじゃないか?」
「フランチョワーズもさっき、外に出ていったアルネ!」

アルベルトは空になったカップを手に、キッチンへ向かう。

「おやおや・・・姫と王子は午後のお散歩ですか?では、ジェットは蹴られてしまうじゃないか?」
「蹴られた方が、ジェットの頭にはいいかもしれないアル」

のんびりと、冗談を言い合う2人に、ジェットのイライラは頂点に達する。

「ああああああ!っっっんなっ暢気なこと言ってんじゃねえ!ジョーの大馬鹿野郎はっ”好きな奴はいないっ”なんてぬかしやがったせいで!さくらのヤツ!ジョーに好きだって言いやがったんだぜ!告白だよっこ・く・は・く!!!!」

キッチンから戻ってきたアルベルトは、珈琲を淹れたカップを静かにテーブルに置き、ソファには座らずにそのままジェットの前に立った。

「・・・後ろを見ろ」
「っっっんんだ?」
「このトリ頭!」

アルベルトは乱暴にジェットの頭を掴むと力任せに彼を後ろに振り返らせた。


「っっっっっっい痛って・・・・ええ・・・え・・・え・・・・・・え?」
「・・・・・大馬鹿野郎はお前だっ」

リビングの開かれたドア前に立つジェロニモと、その大きな躯に隠れてしまっているが、床に見えるピンク色のスリッパは、この邸で唯一の女性であるフランソワーズのために購入されたものであった。

「ジェットにつける薬はない。」

ジェロニモの低く、いつもよりもどこか唸るような声に、ジェットは びくりっと躯を震わせた。
ぱたぱたぱたっと遠ざかる足音。ピンク色のスリッパはジェロニモの陰から消えていった。


「告白?」


その場に居た全員が、その声に振り返る。

「・・・ジョー、どこに居たアルか?」
「・・・・・地下」

ジョーはダイニングルームに続くドア前に立って静かに、機械的に音を発した。

「あ。お。な。ええ・あおsjgぱkvkpおgjfpじゃぽgjぱshf’うぇ?」

あわあわと、ワケのわからない言い訳を言うジェットだが、それはどんな優秀な翻訳機が搭載されていようとも、解読不可能なジェット語。

「誰が誰に?告白だって・・・ジェット?」
「一回、アイツの射撃の腕前の良さを味わってこい」

アルベルトは固まるジェットの背中を思い切り叩いた。
ジェットはその勢いになすがまま、よたよたと倒れ込むように数歩足を進めた。いつの間に移動したのかジェットの目に映るジョーの足元。

「・・・・誰が誰に?」


=======18 へ 続 く

・ちょっと呟く・

ジェット・・・。
昔の少女漫画風味なタイミングで・・・
・・・アランの方と混ぜない予定が。
ああ、ジェット。そんな君も大好きさ!
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