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Day by Day ・20
(20)

ジョーが購入したプリペイド携帯電話に手を加えたことによって、ギルモア邸に居た全員がアランとジョーの会話を聴くことができた。

「・・・どうするよ?え?ちょっとやばくねぇか?このアランってやつ?」
「う~ん・・・フランスは自由恋愛の国!・・・情熱的なことは素晴らしいが・・・ちぃっとばかし、変な方向に危ないねえ」

地下室からリビングに移動する間、メンバーは口々にアランについて話し出した。

「・・・・現時点では、B.Gとの繋がりはなさそうだな?」
「話しを訊く限り、そう思うアルネ!・・・でもフランチョワーズはどうするかネ?」
「ジョーとピュンマの帰りを待ってからでも遅くない。」
「ま!それもそうだなっ!フランソワーズも気持ちの整理っっつーもんがいるだろうしよ!」
「・・・フランチョワーズはどこアルか?」
「さっきイワンのミルクを作るのために、キッチンへ行ったと思うが?」

張大人はキッチンの前を通りかかったとき、キッチンの中を確認したが、そこに彼女の姿がなかった。
ジェロニモは張大人の肩に手を乗せて、視線でリビングを指す。

リビングのドアを開けたジェットはソファに深く座り、イワンにミルクを与えるフランソワーズを見つけた。彼女はイワンにむかって優しく微笑んでいる。その表情からは、先ほど訊いた”会話”にたいして、彼女のがどう思っているのかを読み取ることはできない。ジェットはイライラと自慢の赤毛を掻きむしりながら、フランソワーズの隣に腰を下ろした。
余計なことは言うつもりはない。と、こころでは誓う彼だが、口が勝手に動いてしまうのがジェットらしい。

「おめぇ、男の趣味最悪だな!・・・ったく、あんなヤツと仲良くデートしてたなんてっ信じらんねぇぜ!!俺の方が1000倍、ましじゃねぇかよっ!」
「・・・デートなんかしてないわよっ」

フランソワーズは、目線をイワンに注いだままジェットに言葉を返した。

「・・・彼氏じゃなかったのかよ?」
「彼氏じゃないわ。バレエでペアを組んでいた。それだけよ・・・・・」
「・・・ただのパートナーにしては、随分お前に入れ込んでるじゃねぇかよ! ”私のフランソワーズ”なんて科白がでてっくっかよっただの”パートナー”でよ!」

フランソワーズは、ジョーがアランについて説明したときに、彼が彼女の”プライベート”な問題の部分をすべて省いてメンバー達に説明していたことを、思い出した。

「アランとは、長く一緒に踊っていたし・・・彼は私が連れ去られるところを見ていたんだもの・・・」
「それだけでここまでお前さんに執着するのは、謎だな。B.G絡みとしたら、サイボーグとしての003に興味があるって言う方が自然だ・・・・・40年の時間は、そう簡単なものじゃない。家族でも、恋人でもない男が、何の理由があってずっとお前さんを想い続けていられんだ?・・・・B.Gに関係なく、だ」

アルベルトは2人の会話に口を挟む。彼が、彼らが常々感じていた疑問だった。
フランソワーズは黙ったまま、イワンの哺乳瓶からミルクが消えるのを待つ。
リビングに集まった全員がフランソワーズをみている、フランソワーズもそれを嫌と言うほどに肌で感じている。

彼女自身、かなり混乱していた。
彼女にとって、アランはバレエのパートナーとして一緒に様々なコンクールに舞台を踏んだ。自分に想いを寄せていたらしく、告白されたが、アメリカへのバレエ留学を前に自分の気持ちはアランにはなく、断ったために起きた・・・事件。そのためにアランはバレエスクールを自主退学と言う形で辞めせられた。その後に、彼は自分がB.Gに連れ去られる瞬間に居合わせた。そして、黒ずくめの怪しい男は、アランに気づき礼を言った。ピュンマの調べによって、自分が留学する予定だったバレエ団にスカラーシップを手に留学していたことが判った。
アランはB.Gと関わっているかもしれない。そのために、自分が攫われたのかもしれない。
根底にあったその疑問が、さきほどの電話の内容で薄れていく。

「・・・これ以上、オレたちが動く必要がないように思えるんだが?現時点でB.Gとの繋がりがないのなら、過去にあったとしても・・・今更だろう?・・・日本で出会った記憶はイワンが消すことも出来る・・・・」
「おいおい、アルベルト・・・そんな風に姫を追いつめるもんじゃない、まだ何もはっきりとしたものがないんだからな」
「何もないから、はっきりしないんじゃないのか?」
「でも、彼は探偵まで雇ってフランソワーズを探したアルネ!・・・ちゃんとした方が安全ネ!!」
「過剰に反応して、時にして厄介事を呼び込んでしまうこともあるんだ・・・シンプルに、考えたい」

フランソワーズは空になった哺乳瓶とイワンを、隣に座っているジェットに渡す。
ジェットは黙ってイワンを抱き、ソファから立ち上がるフランソワーズを見た。

「お、おい・・・?」
「・・・・・ごめんなさい」

フランソワーズはそのまま、リビングを出て行き自室へと向かう。

「泣かせた。アルベルト、フランソワーズを泣かせた。」

ぽつり。とジェロニモが呟いた。

「・・・」
「大人げないぞ!アルベルト!!あの電話のやり取りの後だと言うのにっ姫が可哀相じゃあないかっ」
「女の子泣かせる男だったアルか!ヒドイね!最低ネ!今晩のデザート抜きネ!」
「・・・・ぅ」
「ぁあああああ!言ってやろうっ!言~ってやろうっ!言ってやろう!ジョーに言ってやろうぜっっ、アルベルトがフランソワーズを泣かせたってなっ、今度はお前が009の射撃の的になりやがれっっ」
<B.Gガ 関ワル 関ワラナイ ハ モウ 関係ナイヨ ふらんそわーず ノ タメニ ボクたち ハ 動ク>
「・・・・・」
「おおおお!イワン!!!!アルベルトよりよっぽど男らしいぞっっ」
「イワンっそれでこそ男だぜっ!さすが001だっっ格好ばっかりつけてやがるオヤジとはやっぱり違うぜっ」
「次のイワンのミルクは超特製、張張湖スペシャルにするネ!!」
「アルベルト。フランソワーズが一番辛い、そして混乱している・・・・彼女への配慮が足りない。男としてどうかと思う・・・・」
「・・・・ジェロニモまで言うか・・・・」

フランソワーズが自室へ戻り、30分ほど経った頃、彼女の耳に聞き慣れたエンジン音がギルモア邸に帰ってくるのが聞こえた。


####

ジョーとピュンマがギルモア邸に戻りリビングへ顔を出した途端、ジェットが飛び出すかのように2人に近づき開口一番。大声で言いつけた。

「アルベルトがフランソワーズを泣かしやがったんだぜっっっっっっっっ!」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

フランソワーズを泣かしたことに腹を立てているなら理解できるが、嬉々としてジョーとピュンマに訴えるジェットに、2人は戸惑う。

グレートはそんなジェットを力ずくで押さえ込み、ソファに引きずり戻しながら、ジョーとピュンマに労いの言葉とソファに座ることをく進める。張大人はお茶の準備にキッチンへと立つ。

「・・・・・いったい、何があったんだい?」

目を白黒させながらピュンマはメンバーの顔を見る。

「・・・・・・・・アルベルト、フランソワーズは?」

リビングに入った瞬間に、そこにフランソワーズが居ないことを確認していたジョーは、ジェットの言葉を聞き、わざと彼を名指しにして訪ねた。

「・・・・・・・・部屋だ。と、思う」
「そう。・・・・で?何があったのか、説明してくれるんだろうね?」
「・・・・・・・たいしたことじゃない」
「たいしたことじゃないのに、フランソワーズが泣いたんだ?」
「・・・・・・オレは、オレなりに考えた意見を言ったまでだ」
「ふうん。そう・・・・・アルベルトらしくないね、そういうの」
「・・・・まあ、言い方がきつかったかもしれんが、オレは間違っていないと思う・・・が。スマン」
「・・・・・俺に謝んなよ、彼女に言え」
「ああ・・・」

ジョーとアルベルトのやりとりに、息を詰めて聞き入る他のメンバーたち。
いつもと違うジョーの物言いや態度に驚いている。

<おいっピュンマ、何があったんだ?>

ジェットはこそこそと脳波通信のチャンネルをピュンマに合わせた。

<いやあ、やっとジョーがそれなりに、気持ちが整ったといいましょうか~・・・ふふふ>
<・・・・・なんだよ、それ?>
<アランのことで、ジョーにとってはいい起爆剤になってくれたみたいだね~>
<起爆剤ぃぃ?>
<こんなことでもないと、自分の気持ちに素直にならないっていうのが、情けないっていうか、ジョーらしいっていうか・・・>
<一体なんの話しをしてんだよっっ!>
<・・・・まあ、見てたらわかるよ、ネタバレはあんまりしない方が良いらしいしね?>
<ああ?!>
<ほう・・・ジョーにやっと火がついたのか?>

2人のやり取りにグレートが割り込む。

<しっかりとね!でも、ジョーはあくまでも、ジョーだから・・・どうだろうなぁ>
<むうぅぅぅ、確かに。今は勢いがあるからいいが、時間が経つとどうなるか・・・・>
<そうなんだよね・・・だから早いトコ”そういう雰囲気”を作ることが、僕たちの仕事になるかなあ?>
<難しいぞ、ピュンマ>
<今なら以外とそうなりそうじゃない?>
<いやいや、そんな簡単に考えるんじゃない。むやみやたらに手を入れてしまって、変な方向へひっくり返ることもあるからして・・・まあ、それがあるから恋愛事はドキドキとスリルがあって面白いって言うもんなんだがなぁ・・・>
<・・・・・最近、少女漫画ばっかり読んでるけど、何か役に立たないの?>
<?!・・・・・・見たのか!?我が輩のコレクションたちを!・・・・・日本の漫画は世界に誇る文化だぞ!!特に少女漫画の繊細な感情表現はものすご~~~~~く素晴らしく!! 勉強になるんだぞ!>
<そういえば、新刊出てたよ>
<おお!そうか!!>
<それ、オレもう買ったぜ?>
<<?!>>
<・・・話し、それてる。>

ジェロニモは黙って聞いていたが、思わず口を出す。



「・・・・アルベルトの意見は正しいよ。言うタイミングが悪かったとは思うけどね」

脳波通信でこそこそと話している間に、アルベルトは自分の意見を率直に009へ告げた。

「確かに、彼女にたいして配慮が欠けていた・・・今回の件は、フランソワーズがサイボーグになる前の・・・・プライベートなことが主だからな・・・スマン」
「・・・だから、俺に謝るなよ」
「・・・・・ああ」

アルベルトは珍しく困惑した表情で、ジョーを見る。
ジョーは、「フランソワーズに謝れよ」と彼に囁くように言った後、009となり、メンバー全員を見た。


一瞬にしてそこに、サイボーグ戦士たちが揃う。


「・・・・・・聴いて欲しい。現時点でほぼB.Gとアランが関係がないことは、彼との会話から判ったと思う。けれども、彼が関わったかもしれない可能性はあるんだ。写真のことや、彼の留学のこととか・・・過去のことだし、すでに起きてしまったことだけど・・・僕としてはこのまま無かったことに、はっきりさせないままにはしたくない。どんなに些細なことでも、どこに繋がるかわからない。だから、003が攫われた前後のアランについて集中的に調べたい、それが僕が考えている今後の予定だ」

「時間はあるんだから、いくらだって調べるよ!」

008が009の意見に賛同する。
006が、人数分の珈琲をトレーに乗せてリビングへ入ってくる。

「賛成あるネ!このままだと、スッキリしなくて寝心地が悪いあるからネ」

009の意見に賛成の意を全員がみせた。

「009、それで”今”をどうする?」

005が006から受け取ったマグを手に、009を真っ直ぐにみて言った。



「・・・・・・そのことなんだけど、僕の我が侭を聴いて欲しい」



その日。
フランソワーズは、夕食の準備のために部屋から出てキッチンへ向かう途中、2階へ降りる階段でアルベルトとすれ違う。彼は一言「スマン」と、すれ違い様に謝った。フランソワーズはすぐに、自分がリビングを去った後、仲間達から何か言われたのだろうと察した。フランソワーズは微笑みながら首を左右に振り答えた。

「・・・アルベルトの言う通りだもの。私自身もちゃんと考えられてなくって、みんなに迷惑をかけてしまったわ・・・・今日の夕食後もミーティングでしょう?それまでに」
「いや、フランソワーズ。今日はミーティングはない」
「え?」
「今の時点でアランとB.Gとの関わりがほとんどない、と判ったようなもんだからな・・・引き続きリサーチはするが・・・今のところ、これと言って動くつもりはない」
「・・・・・それ、いつ?」
「008と009が帰ってきて・・・そういうことになった。あの電話の後だ。当初の予定通り、むこうからの出方を待つ・・・009の方から説明があると思うが・・・」
「わかったわ」



####

始発のバス停に並ぶ2人の男女の姿。
街外れの、海水浴にはまだ早すぎる季節。始発のバスに乗る人間は滅多にいない。
空っぽのバスを走らせるのが常だった運転手は、遠目に見えた乗客の姿に慌ててアクセルを緩めてブレーキを踏んだ。青年は、赤ん坊を抱いた女性を先にバスに乗せて、2人分の運賃を払う。女性はもの珍しそうにそれを眺めていた。

「場所によって変わるけど、ここは先に払うんだ」

日本人とは異なる容姿の女性は、青年の言葉に頷いた。
運転席から数席後方の座席に座り、2人は黙ったままバスに揺られて駅に向かう。
2人がバスを降りるとき、運転手は女性から丁寧にお礼を言われて、女性の優しい花が咲きこぼれる笑顔に、明るい輝く空色の瞳に見惚れてしまった。

2人はバスを降りて駅構内に入り、切符を購入する自販機の前で、青年は女性にどのように切符を購入するのかを説明する。

「・・・どこまで買うの?」
「今日は、ここだよ・・・乗り換えないといけないけれど、切符はそのままでいいから」


何ごともなく時間は過ぎ、穏やかに春の訪れを告げるように、桜の花が芽吹き始めたことに気づいたとき、彼ががアランに電話した日から1週間が過ぎたその日の朝に、ジョーとフランソワーズ、そしてイワンは約束の場所へと向かう。

「はぐれないようにね・・・」
「ええ・・・」

向かう先は、都内有数のホテルの一室。


豪華に飾り立てられたロビーを抜けて、エレベーターに乗り込む。
フランソワーズはじっと階数を表す数字をを見つめたまま、息を詰める。
ジョーは、心配げにフランソワーズの背中に腕をまわす。
腕から伝わるジョーの優しさにフランソワーズは微笑んだ。
フランソワーズが腕に抱くイワンは、ジョーとフランソワーズの顔を交互に見ながら、眠たそうに欠伸をする。

「・・・・夜の時間が近いのに、ごめんなさいね」


都内の眺めが一望できる最上階のセミ・スウィートにアランは部屋を用意した。
緊張と、興奮で高鳴る胸に拳を握る手は汗ばんでいる。
落ち着け。と、自分に言い聞かせながらワイングラスに注ぐビンを持つ手が危うげに震えていた。

2日前。
島村ジョーと言う青年から3回目の連絡が入った。
彼が今日、ここへ”マリー”を連れてくると言う。
あくまでも、彼は彼女を”マリー”と言い張り続けたが、電話での様子を察してすでにアランは”マリー”が”フランソワーズ”であると、確信に近いものを持っていた。


約束の部屋のナンバーを確認して、ジョーはフランソワーズを見つめた。

「・・・フランソワーズ」
「・・・・」
「・・・今なら・・・引き返せる、よ?」

フランソワーズは、微かに首を左右に振り、目線を床に落とす。
イワンを抱くフランソワーズの腕に力が入る。
フランソワーズの腕の力に、彼女の強張る気持ちをイワンは全身で感じる。

「・・・・・そばにいる」
「ジョー・・・・」
「俺が、そばにいるから・・・」
「・・・・・ええ」

「キミは前を見ていて・・・・・」

フランソワーズはゆっくりと視線をジョーにむける。
彼は優しく微笑んでいたが、その褐色の瞳は戦いの中で何度もフランソワーズを奮い立たせた・・・未来を信じる、強い光がまっすぐに彼女を見つめていた。
フランソワーズは、その光に導かれるように、力強く頷いた。

ドアに取り付けられているチャイムが軽やかに鳴る。


####

「・・・009,少し、いいかしら?」

フランソワーズは、アランと連絡を取るためにピュンマと出かけて戻ってきたジョーを、夕食前に声をかけた。
夕食の準備のために向かったキッチンには、すでに張大人とグレートが準備を始めていた。フランソワーズも手伝おうとしたが、2人に無理矢理キッチンから追い出されてしまったのだ。ちょうどその時、地下から上がってきたジョーと鉢合わせた。
明日にでも、と思っていたフランソワーズだが、少しでも自分の決心が鈍らないうちの方がいい。と、ジョーを呼び止める。
009と呼ばれてジョーは身構えてしまったが、すぐにそれを解いてフランソワーズの言葉に頷く。

「・・・みんなに聴かれたら困ること?」

フランソワーズはジョーを地下室にある、ギルモアの書庫へと誘った。

「・・・・お願いがあるの」
「お願い?」

書庫に入り、しっかりと戸を閉めてからフランソワーズは話し出した。
ジョーは近くに置いてあった脚立に腰掛ける。

「・・・・みんなに言うと、きっと反対されると思うから」
「・・・・アランに会うつもり?」
「!?」

ジョーは小さく溜息を吐く。
フランソワーズは、閉めたドアに背中を預けた状態でジョーを見つめた。

「わかるよ・・・アルベルトに言われて・・・キミのことだからね。きっとアランと直接話して、全てを自分で終わらせたいって思うんじゃないかなって・・・」
「・・・・・009には、知らせておこうと思って。勝手な単独行動でみんなに迷惑をかけたくなかったから」
「1人で会うの?・・・・・あんな男に?」
「・・・・」
「何が起こるか、わからないよ?・・・あの会話を聴いていただろ?」
「・・・・」
「危険だ」
「でも!! それでも!!」
「予定ではヤツから連絡があったとき、俺1人で会うことになっている。わかってるよね、003?」
「わかってるわ!!・・・・でもっこれ以上はもう!!!」
「だから、一緒に行く」
「え・・・?」
「キミの問題だから、キミがしたいように、キミが思うようにするのが正しいんだ。B.Gが関わっていたら、絶対に反対していたけど・・・・それも判らないと言うか、今はどちらかと言うと、関わりがない。と、思う。あくまでも今の時点でだから、ね。だからと言って、キミを1人でアイツに会わせるつもりはない。出来たら、会わせたくないっ」
「・・・・009」
「キミの、とても個人的な問題になってくる、から・・・俺は、何も言う権利なんてないんだ。でも、ごめん。これだけは譲れない。キミがアランに会いに行くなら、俺も行く。キミ1人で行かせるつもりはない・・・そんな危険なことはさせない」
「でも・・・」
「これ以上は何も聴くつもりはないよ、キミがアランに会うなら、俺も一緒でない限り認めるつもりはない」
「・・・・・」
「いいね?勝手な行動は、しないでくれ・・・頼む」

「・・・・・・・私はサイボーグよ、そんな簡単には・・・。昔と違うわ」

ぽつり。と、フランソワーズは小さな声で言った声に、ジョーは鋭く反応した。

「簡単なんだよっっっ」

ジョーは、腰を下ろしていた脚立から立ち上がると素早くフランソワーズに近づき乱暴に彼女の腕を掴み、力任せにドアへ彼女を押しつけて躯の自由を奪う。
強い力で捕まれたフランソワーズの腕にぎりぎりと彼の指が食い込んでいく。思わず、フランソワーズは躯を竦ませ、ジョーが009であり自分の仲間であると、はっきりと頭でもこころでも理解していながら、今の状況にフランソワーズの胸は恐怖に狼狽する。

「・・・009!」
「・・・・・男を、甘くみるなっっ!!」
「?!」
「キミがサイボーグでも、こころは昔と何ひとつ変わらないっ!!キミは女の子なんだっ いざと言うとき、キミのこころが負けてしまえば、サイボーグかどうかなんて関係ないっっっっ!!!キミはっ女の子なんだからっっ!!キミは二度も同じことを繰り返すのかっっっ」



ーーーこころが負ける。



じんじんと傷む両腕の痛みがもたらす熱に、フランソワーズは顔を歪めながらジョーの言葉を頭の中で繰り返す。

009の力だからこそ、簡単に自分の躯の動きを封じ込めることができるのだ。

これがアランだったら?
人であるアランだったら?

00メンバーの中で最も生身に近いフランソワーズでも、ただの”人”であるアランに力で負けることはない。その上、B.G研究所での戦闘訓練は、彼女を一流の戦士として”人殺しの技術”を躯にたたき込んでいる。




ーーーこころが負ける?


フランソワーズの脳裏に自分に迫ったアランの目が、その有無を言わさぬ腕で抱きすくめられた感覚がフラッシュバックする。

彼は、フランソワーズの知るアランではなかった。
彼は、ただの欲望に身を燃え滾らせた男だった。

躯が動かない。
動かないのではなく、動かせなかった。

こころが、負けた。
恐怖に覆われたこころは、躯の自由を奪う。



「っっっぃたいっ」


フランソワーズの涙交じりの非難の声に、ジョーは はっ と理性を取り戻し、その手をフランソワーズの腕から離し、彼女から離れた。


「・・・・・サイボーグかどうかなんて・・・キミは・・・キミに、二度と嫌な思いをしてほしくないっっっっ」



フランソワーズは力無くずるずるとその場に崩れ落ちた。
ぺたり と座り込んでしまった床の ひんやり とした感触がフランソワーズの堅く強張ったこころを落ち着かせる。

「・・・・・ごめん」

ジョーもそのまま床に座り込んだ。

書庫に納められたインクと紙の独特な香りが2人を包む。
部屋に付けられたオレンジ色の間接照明が、一角だけを煌々と照らす。
窓のない地下の空調をコントロールするそれが、微かに壁を揺らす。

長い沈黙の後に、フランソワーズの声がジョーの耳に届いた。

「・・・・・009」
「・・・・・」
「恐いわ・・・・彼に会うのは怖いっっっ!!!いったい、彼は・・・・・何が目的なの?・・・・何がしたいの?私に何を求めてるの?
・・・40年以上も時が過ぎた今になって・・・今になっても・・・・なぜ?
私の中では、すでに忘れられていた人だったのに・・・・
彼がB.Gに関わっていない?関わっていた?私が攫われるときに、そこに居たのは偶然?
それとも・・・・・彼は知っていたの?彼が原因で私は?
・・・・なぜ彼の撮った写真が?なぜ飛行機が?・・・ずっとよ!!!ずっと・・・
同じ事ばかりを考え続けてるのっっ答えなんか出てこないっっ・・・・・
ただ同じことを、同じ言葉が・・・頭の中をぐるぐるとまわってるだけ・・・もうたくさんよっっ!考えたって私の躯はもうっ時間はっ戻らないのに!!なぜ今頃になってっっ・・・・何も変えようがないのに・・・・知らない方が幸せなことだってあるもの・・・・・・・放っておいてよ・・・・・なぜ放っておいてくれないの?
・・・・・逃げたっていいでしょ?そんなに、そんなに、私は強くないわ!!!!」


喉の奥から絞り出すような、声。
声は震え、潤いが無くなった喉は掠れる。


「それでも、キミは会うことを選んだ」

フランソワーズはジョーを見る。

「・・・・・・黒ずくめの男が車から・・・悲鳴を上げたの・・・兄さんは気づいて追いかけて来たの・・・私の名前を呼んで、走って車を追いかけてくるの・・・・一生懸命に叫んでいるの」
「何を?」
「わからない・・・・思い出せないのよ、本当は」
「・・・・・」
「兄さんが、どんな声だったか・・・・・声が聞こえないの。兄さんを思い出すとき、科白が頭の中に浮かぶけど・・・それは”浮かぶ”だけで、兄さんの声じゃないの。兄さんの声は・・・・聞こえないの・・・兄さんが何を言っているかは判るのに、”兄さんの声”が聞こえない。どんな声だったか、思い出せないの・・・・酷い妹よね?」
「人の記憶、なんて・・・そんなものかもしれない」
「思い出すかと・・・・思ったの。アランに会えば、思い出せるかもって・・・思ったのよ。兄さんの声を」

ジョーは、無意識に動く自分の手を、必死で押さえ込む。
彼女を抱きしめたくて、こころも躯も悲鳴を上げる。
必死にその気持ちを抑え込みながら、ジョーはフランソワーズに訪ねた。

「・・・・俺でいい?」
「・・・・・」
「俺でいいかな?・・・・・・一緒に行くのが、俺でも・・・・いい?」
「・・・・・・・・・・・009・・・」
「みんなのことは心配ない。・・・・・・今回のことは、俺が責任をとる。・・・そう言ってある」
「え?」
「キミが、アランに会うと言っても、反対しないように・・・・・言った」
「!!」
「・・・・・・・・・・だから、俺でなくても・・・誰でも快くキミと一緒に、行ってくれると思う」
「・・・」
「・・・・・・・俺が行きたい。そう思ったから」
「・・・・ジョーが、ついてきてくれるの?」
「キミが・・・・・望んでくれるなら」
「・・・・・・・・・・いいの?」
「キミ1人で行かせるつもりはない。俺が一緒に行く・・・・・・そう言ったよね、ずっとそのつもりだったから・・・・・本気で会うんだね?」
「ええ」
「そのために、いろいろと決めなければいけないルールがある、よ?」
「わかってるわ」
「・・・・・・・・・辛いよ」
「・・・・・・・・・覚悟、してるわ」
「・・・・・・そばにいる・・・・・・・・俺でいいのなら」


「全てを、真実を知って初めて・・・私は、本当の意味で・・・・・・明日が来るのよ」





チャイムが鳴った。

アランはごくりと生唾を飲む。
テーブルに置かれていたワインとグラスを乱暴に片づけた。
ドアに向かう足が震えてしまって、思うように動かない。
ドアまでの数秒間が永遠に思えた。

震える手で、ドアノブに手をかける。


もう一度、チャイムがなる。



大きく息を吸い込み、アランはドアノブをまわして一気に・・・・・開いた。



ーーーああ!!私のフランソワーズが戻ってきた!!!!!!!!!!!!



=====21 へ 続 く

・ちょっと呟く・

アランの飛ばしっぷりに影響されてか、展開早!!
もう少し伸ばす予定が・・・。

次回を書くのがちょっと気が重い(笑)
だってアラン・モルディエ大爆発でしょう・・・・このままだと。

ちゃんとしまむらさん、我慢してる (笑)(途中暴走したけどね)
前回のお嬢さんの”マテ”が効いてます?

いったい2.7.8は何の少女漫画にはまってるんでしょう?
4は読んでないのかな・・・?

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