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風薫る約束
ベッドから起きて、バスルームに向かう。
顔を洗い、寝ぼけた頭で歯磨き粉が無くなっていたはずだと気がついた。
いつも置いている場所に自然と手が伸びる。
そこには、ふくれあがった重みのある真新しいチューブの感触。

ーーーああ、買っておいてくれたんだ。

フェイスタオルを手に取り、洗い立ての心地よい香りでようやく一息。
朝だ。と、思えた。


寝間着のまま廊下を歩く。
アルベルトが、「やっと起きたのか?」と、いつものセリフ。
「おはよう」と返すが、彼はいつも鼻で嗤うだけだ。

「少しは考えろっ」

すれ違い様に注意された。

ーーー・・・考えられたらいいんだけれど、こればっかりは・・・

部屋に戻って着替えをする。
クロゼットにきちんと収められた、アイロンがかけられた服たち。
その中にある4段式のプラスティックケースからTシャツを選んで、イスにかけておいたジーンズをはく。


部屋のカーテンを開けようと思ったけれど・・・・やめておいた。



部屋を出て、2階から1階のリビングへ。
リビングを抜けて、隣のダイニングからキッチンへ。

張大人がすでに昼食の準備を始めていた。

「もうすぐ昼ネ!まてるアルか?」
「う~ん・・・少し何か口にしたい・・・かな?」

張大人が淹れてくれた珈琲を受け取りながら、言ってみた。
彼は、にっこり笑って冷凍してあったパンを焼いてくれた。

パンを乗せた皿と珈琲を手に、ダイニングではなくリビングへ向かう。
昼食の準備に邪魔にならないようにね。

「よっっ!」
「お早う・・・」
「お早うじゃないよ、ジョー。こんにちは!」
「やっと起きたのかい?」

リビングのソファでくつろぐ、ジェットとピュンマ、グレートにジェロニモ。

「・・・・まあ、いつものことだから、許してくれよ」
「それにしても今日は・・・遅いね?」

ピュンマはちらりと時計に視線を走らせた。
もう13時を過ぎている。

「寝たの・・・・君らが朝食後の珈琲を楽しんでるときくらい・・・かな?」
「まあったく!だらだらしてっいい若いもんが~」
「・・・万年二日酔いのグレートに言われたくないなぁ」
「んで、起きて来たのはお前だけかよ?」
「うん」

熱い珈琲に焼きたてのパンの香りが、昨夜、夕食をとらなかった空っぽの胃を締め付ける。
パンを頬張り、それを黒い液体で流し込む。

「出かけるって言ってたじゃんか!オレも便乗して街まで車、出してもらいたかったんだぜ?」
「・・・ああ、ごめん。今日は出かけないと思う」

パンに乗せたバターがとろりと溶ける。
舌にのるそれが、旨い。と満足する。

「ああああああああっ!ったく!!オレの今日を返しやがれえっっっ!」

長い手足を乱暴に広げて、ソファに沈み込んだジェットを面白そうに眺めるピュンマ。

「車じゃなくてもいいじゃないか、なんなら僕が付き合おうか?」
「メシを食ってから、行けばいいじゃないか。ジェット」
「バスに電車にっ乗り継いで行くのが面倒臭せえ!待ってられっかよ!」
「いい若いもんが・・・情けない・・・・」
「グレート、最近どうしたの?」
「おお!!熱き血潮滾る魂の器よっ今ある時を生きよっっ!今ある生にしがみつきっ荒れ狂う砂漠に浮かぶ聖夜の星を仰げ!!!・・・・いやあ・・・書いてる戯曲の進みが悪くってなあ、こう天気の良い日にみんなしてゴロゴロと邸にいるってえのも、哀しいかな~なんちって」

「・・・ほんと・・今日は良い天気だねえ・・・小春日和って言うの?日本語で?」

最後のパンを口に放り込んで、珈琲を飲み干した。
ピュンマと目が合う。

「・・・学がない人間に訊かれても・・・・違うと思うよ、確か寒い時期に春のような温かさの時に言うはずだから、時期が違うんじゃない?・・・・そういうの僕じゃなくて、アルベルトの方が詳しいんじゃない?」

リビングの庭へと通じるガラス戸から入る温かな日差しは、すでに春色。
柔らかな記憶が桜真風となり、胸を撫でた。


ーーー約束してたんだっけ・・・? いつだろう?


「ジェット、ピュンマ、グレート・・・ジェロニモ!邸にはみんないるんだよね?」

ジョーの声にリビングにいる4人が不思議そうに彼の顔を見た。

「急だけど、出かけてみようか?」



グレートはキッチンへ走り込む。
張大人は話を訊いて昼食の準備を3倍速で急いだ。


ジェロニモは地下にいるギルモア博士と、夜の時間が近いがまだ眠りについていないイワンに報告する。


ジェットはアルベルトの部屋のドアを壊さんばかりに叩き、アルベルトに一発殴られながらも、怒ることなくリビングでジョーが言った言葉を伝えた。


張大人と、グレートが忙しなく動いて昼食の準備を急ぐ。
昼食が整ったと声がかかる前に、ダイニングに集まるメンバー達。


「もう少し・・・早く言わんか・・・?」

イワンを抱きながらダイニングに訪れたギルモアは苦笑しながら、メンバー達を見た。

「ジョーが言い出したんだぜっ!文句はジョーに言ってくれよ、博士」
「むう、ジョーにしては珍しいな・・・ジェットが言い出したならわかるんじゃが・・・」
「ジョーは行くことは考えていたかもしれないが、日程までは決めてなかったんだろ」

アルベルトがニヤリと嗤った。

「それで、言い出しっぺのジョーはどこアルか?」

帳大人とグレートが人数分の昼食をトレーに乗せてダイニングへと現れる。

ジェロニモが天井を見上げ、一言。

「2階。」



薄暗い部屋に、締め切られた窓を覆うカーテンの隙間を縫うようにこぼれ落ちる日の光。
部屋に響く、ジョーの足音と、静かな寝息。

ベッドに腰掛けて、ジョーはフランソワーズの肩を揺らす。
眠りが深いのか、彼女の反応は鈍くジョーに背を向けるように寝返りを打った。
ジョーはフランソワーズを追いかけるように、躯を伸ばして、フランソワーズの肩に手を置き、揺らした。
彼女の口から無意識の抗議の声が零れた。
甘い息に混じったその声に、ジョーの胸は淡く波立つ。

「フランソワーズ・・・ごめん。まだ寝ていたいのはわかってるんだけど、さ」

「ん~~~・・・・」

「本当に、ごめん・・・フランソワーズ、起きて?」

「ん~~~・・・・・いやよ・・・まだ」

「みんな、待ってるんだよ?」

「・・・・・・・・・・え~~・・・・・?」

「起きてくれないと、キミを置いていくよ?」

「・・・・・・・・・・ん~~~~?」

「ごめんね、急で・・・・でも思い立ったら吉日って言うからさ」

「・・・・・・日本語、わかりませ・・・・っん・・・・」

「起きて、フランソワーズ・・・」

ジョーは再度、フランソワーズの肩を揺らした。

「・・・・・・今・・・何時?」

「13時40分くらい?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええ?!」

大きな空色の瞳が ぱちり と開く。と、ジョーに向かって飛びついた。

「なんでっそんな時間なのっ!」
「・・・キミが目覚まし時計を止めたんだよ?」
「なんでっ起こしてくれなかったのよ!」
「・・・僕も寝ていたかったし、さ。キミが止めたから放っておいた」
「ヒドイ!」
「・・・・そうか?寝たの遅かったし・・・いろいろねえ?」

ジョーは起きあがって抗議の声を上げるフランソワーズを抱き寄せて、耳元で何事かを囁いた。

「っっっっジョーのばかあ!!」
「ほらっ怒ってる場合じゃないんだよ?急いで支度して、御飯を食べるんだよっ!みんなを待たせるわけにはいかないんだからさ」
「っっっえええ?」

フランソワーズを抱き抱えるようにして、彼女の部屋についているバスルームに押し込んだ。

「早くしてよっ出かけるんだからさ」

ドアの向こうで叫ぶジョーの声に、混乱しているフランソワーズだが、ジョーの言葉に素直に従って手早くシャワーを浴び、身支度を整えた。

バスルームから出た部屋はカーテンが開けられて、一杯に満ちる光る春。

「ほらっボウッとしないで!ダイニングに行くよ」

ジョーは彼女の手を取り、走るように1階へ向かった。


ダイニングルームに集まった10人の家族。
一足遅れで席に着いたジョーとフランソワーズに、何も言わない。
いつものように、いつもの昼食。

「・・・ねぇ。どこへ行くの?」
「ん?」

「だから、何処に行くの?」
「みんなで行ったほうがいいなって思ってさ」

「だからっみんなで何処へ行くのよ?」
「おしゃべりは、あと!さっさと食べて」

「も!教えてくれてもいいじゃない!!」
「行けばわかるんだ、お楽しみでいいだろ?」



風光る空。
こころ沁みる新緑。


「みんなでって、車で行くのよね?」
「ああ、場所は決まってるからね、張大人の店の車と2台」


温かな昼下がり。
愛しいキミと。


「ずっと前に約束したろ?」


青空を彩る薄桃色の花を見上げて。


「?」
「春だからね」



キミと手を繋いで歩こうか?
花見団子って知ってる?

ーーーーフランソワーズ。


「きっと綺麗だよ・・・」



桜咲き誇り、陽の光舞い、風は詠う。
キミは誰よりも、その日の主役である花よりも綺麗だと思う。


満開の桜の樹の下で。
キミに小さなイタズラを用意しておこう。


end.





・あとがき・

キリリク用練習作・・・・UP
こういうのをいくつか書いて、切ったり這ったり、付け足したり、削ったりしつつ
書いてます。・・・・・でもねそのまま放っておかれるのもあり・・・・それがこれ(笑)
見つけたので(〃_ 〃)ゞ ポリポリ
9の一人称が必要と思い、練習。と言い訳しておこう。
あ、でもこれ9目線だけど・・・一人称違う・・・(^_^;)

・・・何やってんだか・・・・
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